天草崎津自転車散歩

天草グルメ旅の第1日,昼は崎津で寿司三昧,夜は本渡でイタリアン,腹ごなしに自転車もちょこっと! 6.5km
2022/12/01(木)~12/03(土),二泊三日で天草グルメ旅に出掛けました。 松島有料道路で上島有明海沿いを走れば旧・本渡市まで熊本市内から2時間とさほど遠くもないのですが,国道266号線の望薩峠越え区間の道路改良を確認するべく上島の不知火海沿いを走り,更に天草市河浦町の世界遺産 「崎津集落」 まで足を伸ばしたため(170km)4時間弱もかかってしまいました。 交通の流れに乗り結構なスピードで走っての所要時間です。 日本は広い!

望薩峠は高低差こそ以前と同じ 80m ながら道路の拡幅と急カーブ付け替えにより,車では格段に走り易く改良されていました。 天草上島不知火海沿いの国道266号線は左側に穏やかなオーシャンビューの拡がる区間が長く,山の中を一直線に貫く松島有料道路経由に比べて旧・本渡まで +25km,+38分ほど遠回りになりますが,もし時間に余裕があればお薦めのドライブコースです。 ぜひお試しを!

天気は3日間とも冬雲が拡がり所々に晴れ間が覗く典型的な冬模様。 北風も吹き交う寒い旅路となりました。 果たして自転車で走ることはできるのか?
08h30 dep. 自宅(熊本市北区) 車に折畳み自転車を積んで出発
12h10 arr. 天草市河浦町崎津,崎津漁協前駐車場
12h20 arr. 寿司処 「海月(くらげ)」 昼食!
- 00.0km 13h40 dep. 崎津漁協駐車場 (自転車組み立て,動画撮影開始地点の富津トンネル西口に移動)
- 01.2km 13h45 dep. 富津トンネル西口 (動画撮影開始
- 02.7km 13h50 arr. 崎津カトリック教会動画撮影終了,1.5km)
- 04.5km 14h00 arr. 崎津入江対岸(東),天草崎津灯台前 (入江越しに崎津集落を眺める)
- 06.3km 14h10 arr. 崎津諏訪神社 (鳥居越しに崎津カトリック教会を眺める)
= 06.5km 14h20 arr. 崎津漁協駐車場 (寒いので自転車操業終了!)
※ 目の前で愛車(車)のホイールに野良猫がマーキング,お前の縄張りだったか?スマソ (笑)
14h30 dep. 〃 (ホイールを水で洗い,自転車を車に積み込んで,車で出発)
14h40 arr. 天草町大江,大江天主堂,徒歩散歩
14h55 arr. 天草町高浜,白鶴ヶ浜海水浴場徒歩散策
北風が寒いので早々に退散
15h00 dep. 〃 国道389号線で天草下島の西海岸を北上
15h15 arr. 天草町下田,これより天草下田道路(県道24号線)次いで国道266号線で旧・本渡市街のホテルへ
15h50 arr. ホテル
18h00 arr. Trattoria Via Centro (イタリアン),夕餉
20h30 arr. ホテル
崎津カトリック教会はクリスマス・イルミネーションで飾り付けられていました。

残念ながら明るいうちに崎津を後にしたのでその様子を直に見ることはできませんでした。

このリポートの最後で当日撮影した 「天草崎津自転車散歩] の動画を紹介しているのでお時間が許せば是非ご覧下さい。 少しレトロな味付けで編集しています。
崎津集落は南側の羊角湾に向かって北から延びる金比羅山の岬の東側に張り付くように密集しています。 江戸時代に南蛮船の接近を警戒する物見櫓 「番所」 が置かれていた岬の南端 「番所の鼻」 には海上からだけ見える位置に 「海のマリア像 (Ave Maris Stella)」 が建立され,入江を往き交う船の安全を静かに見守っています。 このマリア像,陸からだと漁港防波堤の突端からだろうと入江の対岸:天草崎津灯台からだろうとよく見えない絶妙の位置に建立されているので(↓)このようにハッキリとご尊顔を拝むためには遊漁船をチャーターして近寄るしかありません。 しかも周辺海域は浅瀬になっているので満潮時刻を予め調べた上で船を予約しましょう。
またマリア像の西側,こちらは岬を海岸沿いにぐるりと回る道路沿いには昭和30年代に岬の沖で遭難した船の犠牲者を供養する 「第二天洋丸遭難者供養塔」 が建立されています。

船はいつも危険と隣り合わせです。 今も昔も神仏にすがるのは決して特別なことではありません。

江戸時代 「天草島原の乱」 後に幕府の天領となり禁教令で地下に潜伏したキリシタン達は少ない耕地で厳しい年貢取り立ての状況を,暗黙の了解の下で仏教徒や神道信徒の住民と一致協力して逞しく乗り切っていきます。

明治に禁教令が解かれた後も他宗教信徒間の交流は続き,例えば崎津カトリック教会と崎津諏訪神社ではそれぞれの祭礼で信徒が一緒に祝う姿が今日も見られます。(↓ 崎津諏訪神社の鳥居越しに見やる崎津カトリック教会の眺望)
↑天草崎津自転車散歩走行ルート (1.5km) の地図がうまく表示されない場合はこのリンクをクリック
自転車散歩を終え車を駐めた崎津漁港駐車場に戻ると,このあたりを縄張りにしていると思われる野良猫が目の前で愛車(車)のホイールにシュッとマーキング!こっちを一瞥した後堂々と去っていきました。 子分を一匹同伴。 ご挨拶も差し上げずに失礼致しました!

でも速攻でペットボトル水でお印を浄め(笑),自転車を車に積み込んでから車で出発。

西隣の天草町大江にある大江天主堂にちょこっと寄ります。

こちらもなかなか瀟洒な教会堂なのですが,集落からは離れた丘の上という立地もあって世界遺産登録からは漏れてしまいました。 観光客の足も崎津が優勢で閑散としています。 勿体ない。

こちらもクリスマス・イルミネーションを実施中。
大江天主堂を後にし,国道389号線で天草下島の西海岸を北上。 天草町高浜の 「白鶴ヶ浜海水浴場」 を徒歩で散策。 天草西海岸は私が小学校の頃(昭和40年代),旧・本渡市から天草下島を横断する県道24号線が未整備で熊本市内から半日かかる最果ての地でしたが,夏休みの間に何度か海水浴で訪れたことがあります。 東シナ海(天草灘)に注ぐ高浜川の河口右岸に拡がる白い砂浜が有明海の黒い泥海岸の海水浴場に慣れた子供の目にはとにかく新鮮で半世紀以上経った今でもその興奮をハッキリ覚えています。
さらに国道389号線を北上,天草町下田からは天草下田道路(県道24号線バイパス)で福連木(ふくれぎ)を経て天草下島を横断,亀川ダムで国道266号線に合流して旧・本渡市のホテルにチェックイン時刻 16h00 に到着。
ホテルに荷を解き一休み,冷えた身体を温めてから徒歩5分の Trattoria Via Centro (イタリア料理) で夕餉! 生ハムいちじく添え(いちじくはポルトガルが天草に伝えたのが始まりと云われています),アンチョビ&イカ&地野菜のスパゲッティ,天草猪腿肉の赤ワイン煮込み,等をいただき大満足でホテルに戻り早めに就寝。 一応翌朝 4h00AM キックオフの蹴球世界杯 G.L 第3戦の日本 vs スペインのテレビ観戦に備えたのですが,結局寝坊して 7h00AM のニュースで日本勝利!を知った次第。 いとをかし。
天草崎津自転車散歩 (動画 6'45")
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動画の BGM に使用したメンデルスゾーン作曲 「交響曲第4番 ”イタリア”(1833年)」 の 「第2楽章」 について一言。 この楽章はメンデルスゾーンが旅行で訪れたイタリア (ヴァチカン) で目撃した教皇グレゴリウス16世の就任式(1831年)の荘厳な行列に着想を得たものと考えられていますが,曲調は荘厳であるとともに悲しげな足取りにも感じられます。 そう,まるでキリストの死 「十字架の道行き」 のような描写です。 音楽の重い足取りと崎津の潜伏キリシタン信徒の長く耐え忍んできた歴史とが重なって見え,使ってみた次第。 メンデルスゾーンの抑制された表現がお涙頂戴的な安っぽさを払拭,作品に気品を与えているように思われます。

さらに言えば,グレゴリウス16世は就任時こそ大きな期待があったものの,その後イタリア統一運動の気運の高まりを読み切れずリーダーシップの弱さから世論と乖離,象牙の塔に閉じ籠もり失意のうちに生涯を終えるという悲しい一生を送ることになったそんな未来を予測する音楽とも解釈できるところが実に興味深い!

メンデルスゾーンの音楽にみるロマン主義はリストやワーグナーのようにどっぷり耽美の世界に浸るものとは一線を画する節度あるロマン主義で,そのあたりが厳格な対位法という秩序の中に熱い情感を注いだバッハの音楽への共感を抱いた理由なのではないかと思われます。
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