天草下島半周ライド:天草下島2泊3日自転車行

2020/12/01(火)~12/03(木),天草 「下島」 北半分周回約75kmの自転車旅行リポートです。 
昨年12月に 「天草上島一周1泊2日自転車行」 に出掛け,この季節でも好天の日中 (9h00~17h00) に限れば意外とイケることが分かったので今年はGoToトラベルの恩恵に与り2泊3日 (ライドは中1日だけ) 「天草下島半周自転車操業」 を奮発してみました。昨年の旅行で夕食に訪れ美味しさに感激した本格派イタリア料理店 Trattoria Via Centro 再訪も楽しみです。

しかし今年はコロナ騒ぎで踏んだり蹴ったり。 あたためていた福江島と若松島 (五島列島) への訪問計画は離島ゆえ感染対策の観点から断念せざるを得ず,陸地との距離が近い甑島だけは感染防止を徹底し1泊2日の短期で訪問できましたが,多くの旅行計画は来年以降に延期することになりました。
昨年12月の天草上島一周の時にも利用した 快速バスあまくさ号 を今回は始発の熊本市桜町バスターミナルから天草市本渡バスセンターまで利用,バス床下トランクに自転車を預けるバス輪行です。 2割引の往復乗車券が桜町バスセンター2階の案内所で購入できます(発券日から10日間有効 熊本~本渡往復 : 3,980円)! トランク内で自転車が倒れたりしないよう,トランク開閉に支障しないことを確認しながら,運転士さんの許可を得てトランクのフレームに自転車を荷締めベルト (下の写真では緑色) 等で固定することをお勧めします。
それでは行程をご紹介。
◆ 第1日 : 自宅 ~(車に自転車を積んで)~ 桜町バスターミナル最寄りの辛島公園地下駐車場
        エレベーターで地上階,自走100m,バスターミナル正面で分解・収納,乗車券購入,5番乗場 (徒歩移動80m)
        桜町バスターミナル = = (快速バスあまくさ号,バス輪行) = = 本渡バスセンター
        本渡バスセンター (徒歩移動50m) ホテルサンロード (1階会議室に輪行袋入折畳み自転車を預ける)
        夕食@おさかな食堂将吾 (居酒屋),ホテルサンロード泊
◆ 第2日 : 天草下島半周ライド
        天草市南新町(ホテル)~(自転車,国道266号+県道24号 : 24km)~天草市下田北
        天草市下田北 ~ (自転車,国道389号 : 18km) ~ 苓北町志岐,富岡城址
        苓北町富岡城址 ~ (自転車,国道324/389号 : 19km) ~ 天草市五和町鬼池港
        鬼池港 ~(自転車,国道324号 : 12km) ~ ホテル
        第2日自転車走行距離 : 73km
◆ 第3日 : ホテル (徒歩移動50m) 本渡バスセンター
        本渡バスセンター = = (快速バスあまくさ号,バス輪行) = = 熊本市桜町バスターミナル
        バスターミナル屋外で自転車組立,自走100m,エレベーターで駐車地階に下降,車に積載
        辛島公園地下駐車場 ~ (車に自転車を積んで) ~ 自宅
寒中サイクリング成否を握るのは 「走行時間帯 (気温)」 と 「風速」 です! 冬場に典型的な西高東低気圧配置では高気圧/低気圧の気圧差が大きいと好天でも風が強くて体感温度は下がるわ向かい風で体力を消耗するわで屋外運動には不向きです。 そして厄介なことにこの季節は上空のジェット気流の予測が極めて難しく,直前まで正確な予報を出せないことが多いのです。

今回もかなり念入りに気象図とにらめっこで天気を予測してライド日程を決めたのですが,当日が近付くにつれて天気予報は目まぐるしく変化し,祈るような気持ちで出掛けました。 自宅周辺を走る時は宿や交通機関の心配もないのでこのような気苦労はないのですが…。 一方お日様が顔を出してくれさえすれば朝9時過ぎにはこの季節でも気温は10℃を上回ります。 ライドを 9h30~16h30 の7時間の間に完結するよう行程を組めば最小限の防寒対策で済み荷物も小さくまとめられます。

今回走行時の服装は上下トレーナーの上にウインドブレーカー,マスクに軍手という軽装でしたがこの時間帯で完結するライド行程だったので寒さを感じることは皆無でした。 また襟口にタオルを細長く巻いて開口部を塞ぐと風対策+汗垂れ防止になるのでお勧めです。 ジョギング時のマスク着用は呼吸の負担を高める場合もあるので推奨しないという指摘もありますが,サイクリングはジョギングに比べると運動量が少なく,一方走行速度は上がるので防寒対策としてマスク着用は効果的なのではないかと思っています。
 ◆ 第1日リポート ◆
昨冬の天草上島ライドの折は早暁 5h50 自宅を出ましたが,今回初日は日没前にホテル入りするだけです。 この贅沢な旅程のおかげで旅装はトレーナー上下の上にフリースを重ね着,折り畳んだウインドブレーカーと下着2セットに着替えのトレーナー上下,デイパック1つに全てをまとめて身軽に移動できました。 なにしろ 「輪行袋入り折畳み自転車」 という重くて嵩張る大荷物があるので,それ以外は1つでも荷物を減らしたいのです。 おっとヘルメットがあったっけ!

自宅から自転車を積んだ車で天草のホテルまで直行すれば一番手間は掛からないのですが,それを敢えて車からバスに乗り継ぐ移動にしたのには訳があります。 本年9月はじめ台風10号接近に伴い愛車を辛島公園地下駐車場に数日間避難させたのですが,その時に購入した12時間駐車回数券が4枚残っていることを思い出したのです。 有効期限は3ヶ月 : 12/05(土) 迄に使ってしまわないと無駄になってしまうことを考慮し,48時間以内に車を出し入れするという条件を満たすバス乗り継ぎがあるか調べ,往路は桜町バスターミナル始発 14h00,復路は同ターミナル翌々日 12h05 終着,そのためには初日 13h00 駐車場入庫,3日目 12h50 出庫という乗り継ぎ計画を立てました。

1.地下に駐めた車から自転車の固定具を外して降ろし
2.地下駐車階を自走 (エレベーター最寄りの区画に駐車)
3.折り畳み (袋には入れない)
4.エレベーターで地上階に移動
5.組み立て
6.地上を自走 (100m)
7.バスターミナル正面(* ホテル)で自転車を折畳み輪行袋に収納
8.荷物を 「抱えて」 バスのりば迄の最短距離を歩行移動 (80m) ← このプロセスが一番大変!

以上の8工程をどれだけ円滑に進められるかがカギです (F1レースのピットイン作業みたい)。往路は乗車券購入で1階~2階間のエスカレーター移動というプロセスが加わったこともあり35分,復路は25分にまとめることができました。 自宅からホテルまで車で直行する場合は1+*7だけで済みますが大した違いがないといえば無い。 乗り継ぎ案を最終的に選んだ理由は 「駐車回数券を無駄にしたくない」 という貧乏性からですが,折り畳んで輪行袋に収めた自転車をバス床下トランクに預け一緒に移動できる 「バス輪行」 サービスが全国的にみれば珍しいサービスなので使わないと勿体ないということにしておきましょう。

今回利用した快速バス 「あまくさ号」 を含めて九州産交バスでは
・ 「輪行袋またはケースに収納した状態のタテ+ヨコ+高さの寸法合計が2m以内」
・ 「重量30kg以内」
・ 「折畳み自転車に限り」
・ 「床下トランクのある車両で運行する長距離路線のうち幾つかの路線で」
バス輪行を無料で提供しています。 詳しくは こちら

このようなサービスが廃止されないよう,利用に際しては
・ 1便に多数の利用が集中しないよう団体利用を避け
・ 繁忙期・混雑時間帯の利用を避け
・ 他の荷物を損傷・汚損しないよう気を配り
・ 運行遅延を招かぬよう積み降ろしは手際よく (私の場合は積み降ろしとも各2分以内で完了)
・ 運転士の指示を守って
利用するよう努めたいものです。 輪行可能な全国バス路線一覧はこちら
熊本桜町バスターミナル発 14h00 快速バス 「あまくさ号」 は5分遅れて 16h40 本渡バスセンターに到着。 自転車をトランクから降ろし,ヨッコラショと担いで50m,交差点の対面にあるホテルサンロードにチェックイン。 バス輪行には理想的な立地です! GoToトラベル割引利用で2泊オール込 8,840円也。

一休みして18h00 に予約しておいた 「おさかな食堂将吾」 に徒歩7分,キビナゴとサバに日本酒を少々,慎ましく前祝い。 キビナゴもサバも地ものということでしたが,高級魚ではないありふれた魚が美味しいという極上のグルメを堪能,最後に食べた焼鯖ほぐし身入り焼き飯 (580円) とか凄かった!

翌日のライドに備えてこの日は早めに就寝。
 ◆ 第2日リポート ◆
◎ 第一区間 : ホテル~(国道266号)~亀川ダム~(県道24号)~福連木~下田北 (24.4km)
↑ホテルサンロード~亀川ダム~福連木~下田北 (24.4km) の地図がうまく表示されない場合はこのリンクをクリック
前日ホテル1階会議室に預けておいた自転車を朝 9h00 過ぎに出してもらい玄関外で組み立て,折り畳んだ輪行袋をホテルフロントに預け,荷物を自転車の後部荷台に固定して 9h20 出発。 旧本渡市街を抜け,下島南端の牛深に至る国道266を南下。 通学する子供たちの安全のため道路の両側または片側に設けられた歩道を進み先ずは亀川ダムを目指します(8.5km, 135m 昇, 9h00 着)。
通学時間帯も過ぎた刻限だったので安心して歩道を走らせることができました。 休憩地点 「亀川ダム駐車場」 直前の道目木トンネル(234m)内にも片側に歩道があるので安全です。

亀川ダムPから堰堤を望む(→)
本渡地区の貴重な水瓶です。

小休止後,亀川ダム駐車場から 2.4km で国道266号を右折,県道24号に入ります。 2.3km 先の 「福連木(ふくれぎ)トンネル」 東で本日の最高標高地点 (250m) に到達。

県道24号に入ると車の通行量はぐっと減りますが福連木トンネルが曲者で,照明はあれど歩行者を想定しない天草下島横断道路 (自動車道,1979年開通) として建設された経緯からトンネル内に歩道がありません! トンネル入口で自転車の前照灯と尾灯の点灯をしっかり確認してから恐る恐る突入。 実は私,この福連木トンネルを含む前後区間 (枦宇土~福連木) を通るのは今回がはじめてでして,旧本渡市から天草下島を横断して下田温泉を前回目指したのは天草下島横断有料道路の開通する(1979)よりはるか昔,1970(昭和45)年の夏休みに海水浴で下田南の白鶴浜海水浴場に行った時のこと。 当時は旧本渡市から国道266号ではなく本渡市街地から西に山を分け入り急カーブの続く県道24号の旧道を通り福連木に降りてその後,下津深江川沿いを下田温泉に西進する (福連木~下田温泉区間は道幅こそ今より狭いもののルートは基本的に現在と同じ) 路線バスに揺られての旅でした。 天草西海岸は遠かったなあ…(笑)

幸い対向車1台と遭遇しただけでしたが,水平とはいえこれだけの長さのトンネルなのに (846m) 歩道がないのはちょっとコワイ。
1日6~7往復ここを通る 「本渡バスセンター~下田」 路線バスにトンネル前後の区間だけでも輪行をお許し願えないものだろうか? トンネルを抜けると道は下り坂に転じ 1.7km で休憩地点の 「福連木ふれあい市場」 に到着 (スタートから 14.4km, 10h30)。 福連木ふれあい市場は実に素朴な市場で残念ながら私のような下司の食指が動くようなモノは置いてありませんでした。

福連木発 10h50。その後も道はずっと下り坂が続きます。 福連木には現在では廃校となった福連木小学校があった関係で 4km 西の 「菅の原トンネル(165m)」 には左右両側に歩道が設置されています。 10月に訪問した甑島大橋前後のトンネルも予算の関係か歩道はカタチだけのものに留まっていましたが,やっぱりトンネル内の歩道は充実させませんか?

福連木から 10km で下田北パーキングに到着,ここで次区間の国道389号に至ります。 合流する少し手前に 「下田トンネル (345m)」 がありますが,ここも照明ありの歩道ナシ。まあここはトンネル北の下津深江川沿いに旧道が平行して通っているので歩行者は通らないか。 下田北パーキング到着11h15,スタートから 24.4km。 (↑) 写真は下田北パーキングから北西方向 「鬼海ヶ浦」 を撮影。奥にうっすらと長崎の野母崎 (30km 先) が見えます。
◎ 第二区間 : 下田北~(国道389号)~都呂々港~トルレス神父記念広場~志岐炭鉱記念碑~角屋食堂~富岡城址 (18.2km)
↑下田北~都呂々~富岡城址 (18.2km) の地図がうまく表示されない場合はこのリンクをクリック
下田北パーキングから国道389号を北上,天草灘沿いの平坦路で 6.2km の 「都呂々(とろろ)港」 を目指します。 つい最近まで私この地名をてっきり 「トトロ」 だとばかり勘違いしておりました! 正しくは 「とろろ」 ですよ~。 都呂々港到着 11h40。 この区間の走行動画はこちらです (↓)。 風が強くてポップノイズが酷いので動画は生音声をカットして BGM に置き換えています。 昔私が録音したフランク晩年のオルガン曲集からの小品組曲です。
↑動画がうまく再生されない場合は、このリンクをクリック!                       
下田北パーキングの北 2.5km 右側に(有)木山陶石工業所の看板が見えます。 「天草陶石」 を採掘している会社です。 天草陶石は陶磁器の原料として有田をはじめ日本各地の窯業で使われています。 もっとアピールした方がいいと思う!

陶石の他にも天草下島西岸地域では明治から昭和50年頃まで無煙炭を産出する小規模炭鉱が幾つもありました。 天草陶石や天草の無煙炭について詳しくは こちら をご覧下さい。 惜しむらくは鉱脈が薄く大手資本が入らなかったので筑豊や大牟田のように大々的な産業とならなかった。


都呂々港の北には九州電力苓北火力発電所があり (↑) オーストラリアから船で石炭を運んできて発電しています。 発電所には隣接して石炭荷揚げ専用岸壁が設けられベルトコンベアで自動給炭されます。 上の写真だと右下から左上に続くのが送炭路。 現代も石炭との縁があるな。 苓北町は発電所の税収で潤っているようです。 平成の市町村大合併で天草市と合併しなかったのも頷ける。 合併したら貴重な税収が分散されちゃうからね~(笑)
さて 「苓北町」 という町名の由来ですが,「天草」 の当て字を 「甘草」 とも書くことから,これを薬草 「甘草(かんぞう)」 の中国での呼称 「苓(れい)」 に置き換えて天草のことを 「苓州」 とも呼んだことから,あまくさの北に位置する町ということで 「苓北」 となったそうです。

もともと耕作地の少ない天草の中でここは比較的恵まれた土地で,戦国時代の天草有力地頭五氏の一つ
「志岐氏」 の本拠地だったこの地は当時天草の中心地となり様々な人や文化が集まりました。

戦国時代には志岐氏最後の当主 : 志岐麟泉が宣教師
アルメイダを招いて自らも洗礼を受け,ここ志岐は天草
切支丹のはじまりの地となりました。 日本布教の祖ザビエルの後を継ぎアルメイダを天草に派遣したのがトルレス神父。

日本布教を推進し全国各地から宣教師を呼び集め志岐で二度の宗教会議を開催しこの地で没しました。 そのトルレス神父を記念した公園が志岐城址の北麓にひっそりと設けられています。

このほか観光でお勧めしたいのが志岐城址の西,小高い丘の上に苓北町立の温泉施設 「麟泉の湯」。 天草灘の絶景を拝める立ち寄り温泉施設なのですが,生憎コロナ禍の現在は町民以外の利用が制限されている模様。
事前確認必須です (0969-35-3770)。

トルレス神父記念公園の目と鼻の先に,かつて 「久恒鉱業志岐炭鉱」 という炭鉱があり昭和50(1975)年まで無煙炭を採掘していました。 炭鉱敷地の門脇にあった安全祈願鐘の台座が現在残る唯一の痕跡です。

写真右手前にあった炭鉱からは道路が中央奥に向かって伸びていますが,その先の富岡港まで一直線に続く道はかつてここに炭鉱鉄道が走っていた名残と思われます。 天草唯一の鉄道だったようですね。 明治時代に撮影された志岐炭鉱鉄道の蒸気機関車を写した写真が熊本日日新聞社のアーカイブで検索できます。

まだ50年も経っていないのに,私たちは身近な地元のことまで綺麗サッパリ忘れてしまっているようです。 未来に進むためには昔の記憶を消去することも勿論必要でしょうが,当時は価値がないと判断され忘れ去られたものごとの中には,今あらためて振り返ると光り輝いて見えてくるものも少なくないと痛感します。 単に歳を取った所為で懐古趣味に浸っている訳では有馬温泉!

GoToTravel で有名観光地を巡るのを否定はしませんが,地元だから知っているつもりが実は知らなかった観光資源を,もっと言えば既に評価の定まったものを追体験するのではなく自分が価値を感じる観光資源を新たに発掘する,そのような旅の楽しみ方もあるのではないでしょうか。 近くにも秘境というものは必ずあるはずです! 近くだと交通費もかからないし,なによりゆっくり回れるのが魅力です。

今回の自転車旅ではルート選定にあたって,7時間という限られた時間帯の中で周回に必要な約5時間を差し引いた残りの2時間をどこに費やすかで悩みました。 どの路地に寄り道するかの選択,GoogleMapStreetView は隠れた観光スポットの発掘に絶大な威力を発揮します! 土地の起伏を再現するという 3D 表示機能はまだまだ発展途上にあり想像力をフル動員しないと実際の様子を思い浮かべられませんが,はじめて訪れる土地の下調べに StreetView は欠かせません。

この後,かつての炭鉱鉄道のルートを下って志岐地区中心地の
「角屋食堂」 で昼食を摂り,サイクルコンピュータに追充電させてもらいました。

苓北町には 「天草ちゃんぽん」 発祥の 「明月」 という食堂が富岡城の麓に 2018年6月までありました。 チャンポン元祖の長崎
四海楼(1899年創業)で修行,
1905年富岡で開業した 「明月」 は百余年に亘ってこの地で美味しいちゃんぽんを提供し続けたのですが,2018/2/13 「マツコの知らない世界」 で紹介され全国から人が殺到して高齢のご主人がもうこれ以上の対応は困難と判断,2018年6月に閉店と相成りました。
もともと地元客相手にのんびりご商売されていたところに降って湧いた特需,テレビで紹介されるのも考え物ですな。 「明月」 だけでなく私が訪問した 「角屋食堂」 をはじめ天草には美味しいちゃんぽんを提供する食堂が多数あります。 田舎の店は地元客相手にのんびり営業しているところが多いので事前に電話で定休日・営業時間を確認してから行くようにしましょう。(↑)これはまだ 「明月」 がのんびり営業していた頃に訪問,撮影したもの

「角屋食堂」 でのんびり昼食を摂り 13h15 午後のライドを開始。 4km 先,富岡半島の富岡城址を目指します。

トンボロ (陸繋島) の富岡半島は陸地から北の沖合 1.5km あった小島と陸地の間の海に天草下島西岸を北上する海流が長い年月をかけて少しづつ運び続けた砂礫が堆積し砂州で島と繋がったもので,島の高台にある富岡城址に上ると全景を眺めることができます。 富岡城址はぜひ訪れたい観光スポットです。 かつての城郭が復元され,「富岡ビジターセンター (入場無料,水曜休)」 と 「苓北町歴史資料館 (100円,木曜休)」 があります。

(↑) 写真は麓の富岡港から撮影。 富岡半島を形成した海流は島を時計回りに回り込み,島の東岸に更に砂礫を堆積,南に伸びる砂嘴 「巴崎」 を作りました。 富岡城址に上がると東に巴崎を望めます。 苓北町は全国的にはまだまだ知る人ぞ知る土地でしかありませんし,熊本市からだと車で3時間以上かかるので日帰りはちょっと厳しい。 長崎からだと茂木港から富岡港まで毎日3往復の定期船が45分間で結んでいます。 以前はフェリーが就航していたのですが利用客が低迷し 2011年に廃止されたのが残念です。 富岡港から富岡半島東岸の松林越しに富岡湾をチラ見しながら半島の付け根まで自転車でのんびり走る様子を動画でご覧下さい (↓)。
↑動画がうまく再生されない場合はこのリンクをクリック!                        
◎ 第三区間 : 富岡城址~富岡半島~志岐~(国道389/324号)~おっぱい岩~二江~天草市五和町鬼池港 (19km)
↑富岡城址~富岡港~おっぱい岩~鬼池港 (19.0km) の地図がうまく表示されない場合はこのリンクをクリック
富岡城址 13h40 発,富岡港から半島東岸を通り志岐で国道324/389に合流,天草下島北岸を東進します。 この区間も高低差は 10m 以下という平坦路で,心配していた風も 3m 以下と弱く,左手に広がる橘湾を眺めながらのんびりと自転車を走らせます。 昨年10月終わりに訪ねた 「おっぱい岩 (2019/10/30)」 の近くで小休止。 国道名表記が重複しているのは,富岡~鬼池間が
・ 島原半島の口之津からフェリーを介して天草の鬼池港を経て富岡さらに下島西岸を南下,
 牛深からフェリーで長島に向かうに至る国道389号
・ 天草上島東部の松島から同島北岸を西進,天草市本渡から下島東岸を北進して鬼池で向きを西に転じ,
 鬼池から富岡に至る国道324号
以上二つの共用区間となっているからです。

苓北町の天草慈恵病院東辺りからオーシャンビューがはじまり,おっぱい岩(20191030訪問)の少し先で通詞島に一旦遮られます。
(↓) 動画の BGM は,1. Padre Davide da Bergamo "Elevazione", 2. L.J.A.Lefebure-Wely "Elegie", 3. Max Reger "Benedictus"
ハーモニウム演奏は私です。
↑動画がうまく再生されない場合はこのリンクをクリック!                        
通詞島でいったん遮られたオーシャンビューは通詞島を過ぎ,「道の駅天草市イルカセンター」 東の 「二江大橋」 を渡る辺りから再び現れます。 天草側では二江~鬼池間,向かい合う島原側では加津佐~口之津間,有明海の出口にあたるここ幅 4km の狭い海峡は 「早崎瀬戸 (はやさきせと)」 と呼ばれ好漁場となっていますが,干満差が大きく広大な有明海の大量の海水が毎日2回潮の満ち干の度にここを行き来する訳ですから,その潮流に逆らって泳ぎ回る魚は筋肉が発達し美味しく育つことになります。 イルカたちもそんな美味しい魚を毎日食べているのできっとゴキゲンだと思いま~す! 昨年投宿した二江の民宿の夕食でいただいた魚も抜群に美味かった! 鯛やハタをはじめとする高級魚だけにとどまらず鰺・鯖・鰯・キビナゴのような大衆魚が美味しいのは困ります…

二江~鬼池港の走行動画はこちら (↓)。 天草の海岸道路の中で個人的にはここ下島の 「二江~鬼池 (国道324/389)」 と
上島の 「松島~姫戸 (国道266)」 が一番好きです。 BGM は 1. Alexandre Guilmant "Ave maris stella", 2. Cesar Franck "Prelude, fugue et variation",ハーモニウム演奏は私。
↑動画がうまく再生されない場合はこのリンクをクリック!
鬼池港到着 14h40。 ここまでは無理をすることもなく順調にライドをこなしてきましたが,さすがに 60km も走ると寄る年波には逆らえず足が疲れてきました (足が攣るほどの疲労とまではいえませんが)。 今回のライドは最初に 15km で 250m 上り坂をクリアした後は平坦路が殆どで割と楽勝のつもりだったのですが,年齢という変数を入力し忘れていたようです。 来年以降のライドを計画する際には注意しよう,ちょっと気が重いけど (笑)。

ここ鬼池港は島原半島南端の口之津港を結ぶフェリーの発着便数も多く利用客も多いことからトイレの清掃頻度も高く,交通施設のトイレとしては非常に清潔に保たれています。 …と油を売る中,口之津からのフェリーが入港してきました。

時刻は 15h00,気温もこの日の最高気温 16℃ という暖かさ。

ゴールのホテルまでは 12km を残すのみ。 残るルートも高低差は殆ど無い平坦路です。
◎ 第四区間 : 鬼池港~(国道324号)~ホテル (11.8km)
↑鬼池港~ホテル (11.8km) の地図がうまく表示されない場合はこのリンクをクリック
鬼池港 15h05 発,ここからゴールであり今朝スタートしたホテルまでの 11.8km は海沿いではなくほんの少し内陸を道路が走っているのでオーシャンビューは鬼池港でお別れとなります。 海沿いというのは潮風に当たって家や車が傷んだりして決して良いことばかりではないのですが,景観としての価値はオーシャンビューのある無しで大きく変わってくるのではないでしょうか。

日本の地方都市はどこも高齢化・過疎化が進み,ここ天草も住民の高齢化と病院建設が加速中です。 産業の少ない天草で生計を立て家族を養うのに今後期待されるのが観光業ですが,大きな資本を投じることなく平日の観光客数を増やすため今年コロナ対策の苦肉の策として登場した GoToTravel は良いきっかけになるのではないでしょうか。

そして天草をもう少し身近にするための高規格道路建設も少しずつ進行中です。 天草上島~下島間に架かり交通のネックとなっている本渡瀬戸大橋を回避する新しいルートが 2022年完成を目指して 現在建設中 です。 現在熊本市内から本渡まで2時間を要しているのが1時間程度に短縮されれば天草はもっともっと身近な土地になるはずです。 交通インフラの整備には巨額な投資が必要ですが50年後,100年後のことを考えれば近視眼的な事業見直しのターゲットにしてはいけません。

ホテル到着 15h44,予定通り 16h00 までに帰ってくることができました。 気温もまだ 13℃,風も弱く寒さは全く感じません。 日は少し傾いてきましたがまだ明るく 16h00 ゴールという行程も完璧でした。 はやぶさ2には遠く及びませんが無理なく行程を消化できたのはプラン策定の勘が鈍っていないことの証しです! 少しだけ安心 (笑)。 シャワーで汗を流し少し休憩してからお楽しみのディナーだ!
トラットリア・ヴィア・チェントロ,市街地中心部の本渡バスセンターすぐ裏,つまりホテルからすぐの場所にあるイタリア料理店。
オーナーシェフの 酒井道夫さん は地元のご出身,天草でしか味わえない料理を堪能しました。

夜の部スタート時刻の 18h30 に席を予約しておいたのですが,
平日にもかかわらずこの日は私の他に4組の団体利用があり大繁盛でした。 次々に入る注文をたった一人で黙々とこなすシェフの手際には只ただ感嘆!

前菜は天草産イノシシの頬肉を低温の油で長時間煮て柔らかく調理したコンフィのサラダ添え(750円)。
プリモピアットは天草産の鯛を
トマトとバジルで合えたパスタ
(1,400円)。

この日頼んだのはいずれも
「本日のおすすめ」 メニューに掲載されていたもの。 せっかく仕入れた材料を余らせたら勿体ないと思って頼んだのですが,なにしろどれも美味しいのでワインが進みます。

一人メシで最大の問題はフルボトルのワインを注文し難いこと! 本日のお薦めワイン (グラス) を前菜用に赤,プリモ用に白,セコンド用に再び赤,とお店の売り上げに貢献してきました。
セコンドピアットは人吉産シカ肉を叩いて細かく砕いたものを丸くまとめて網で焼いたグリルハンバーグ炙り野菜添え (1,500円)。

花札の 「猪・鹿・蝶」 ならぬ
「猪・鯛・鹿」 の揃い踏み!

メニューにはない「馬」が嫉妬して「馬勝った!」 wwwww

さすがに満腹でデザートには辿り着けませんでしたが,今年最高のディナーを心ゆくまで満足して味わいました。 ご馳走さま!

厨房が大忙しだったのでシェフとお喋りすることもなく,この点でも感染対策は完璧でした。
 ◆ 第3日リポート ◆
9h00 前にホテルをチェックアウトして道路対面の本渡バスセンター発 9h30 の熊本行快速バス 「あまくさ号」 で桜町バスターミナルに定刻より15分遅れ 12h20 到着。 大急ぎで自転車を組み立てたり折り畳んだりしながら隣接する辛島公園地下駐車場に駐めた車に積み込み,48時間のデッドラインぎりぎりの 12h53 (7分前,セーフ!) 駐車場のゲートを出て 13h30 無事帰宅しました。
来年はコロナ騒動も収まり,苓北町 「麟泉の湯」 にゆったり浸かりながら天草灘に沈む夕日を眺められますように,パン・パン! 
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